2026年度から実施予定の高校無償化。
今まで行われていた就学支援金の制度から所得制限がなくなったことで、私立高校に進学する場合でも最大で45万円ほど補助が降りる制度になるそうです。
そうなってくると、公立高校と私立高校の学費の差は相当小さくなります。
「私立で勉強させたいけど、学費がね、、、」
「奨学取れないと私立は行かせられないよ」
などなど、今まで受験を受けた兄姉や、これから受験する子たちに言われている保護者さんも多くいらっしゃると思います。
正直なところ、やはり学習・スポーツ設備的が豊富だったり学習環境変更のフットワークが軽いのは私立高校である場合が多いです。
大学の指定校推薦も、公立高校より私立高校のほうが枠が多いのも事実。
進学に強い高校であれば、指定校200校以上、枠は1000以上持っていたりします。
エグい数ですね。
保護者目線で考えれば、私立高校に通う金銭的な部分が軽減されることで子どもの学習環境を大きく変えることができます。
とくにここ合志市で言えば、大学進学を考えている子は熊本市内の進学校を検討しますが、逆に言えばここに受かる学力がない場合は熊本市内から離れ、郡部の公立高校へ進学することに。
そうなると、定員割れしている高校への進学となる場合がほとんどですので、正直なこというと大学進学はかなり限られた選択となってきます。
それを回避するために、私立高校へ進学しているケースも少なくありません。
また子どもたち目線で言えば、制服のオシャレさや学校行事の華やかさに惹かれていることも。
やはり青春なので、楽しくなくちゃですよね。
そう考えるとメリットが多く感じる高校無償化。
何かデメリットはあるのでしょうか?
今日はデメリットについて考えてみたいと思います。
私立の先生に怒られそう。
そういう僕も私立出身。どうも、学習塾キャリコの釘山です!
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考えられるデメリットの1つとして、
【受験の難化】
があります。
今までは学費を理由に公立を志望校として選んでいた家庭が、
「学費が抑えられるなら私立でもいいじゃん」
ってなってきます。
そしてあまり学力のない子の場合、最初から私立の専願1本で志望校選びをし始める可能性も。
子どもたちもあまり勉強したくないでしょうし、早々に受験が終わる私立入試は魅力的に見えてくるわけです。
これは保護者さんにも言えることで、我が子が公立高校へ合格できるか不安であればあるほど、私立専願1本への選択を取ることに。
現に今の子たちでも起きている事象ですので、学費が軽減されれば よりこの流れは加速していくことでしょう。
高校の先生方から話を聞くと、多くの高校で専願受験者の数は増加傾向にあるとのこと。
そして近年は偏差値が40前後の私立高校でこの動きが特に強く、専願での受験生が大幅に増えたことによって一般受験での合格者が少なくなっている現実もあります。
高校側からすれば、生徒確保が早い段階でできてありがたい話だとは思いますが。
んで、言い方は悪いですが、上記の子たちのような【逃げの一手】で専願を選ぶと、同じような考えで試験を受ける子たちのつぶしあいになります。
競争相手が増えた結果どうなるか。
今までだったら合格できた学力でも、これからは合格できないなんてことになりかねません。
無償化によって、学力の低い子たちほど一層勉強から手を抜けなくなったのかもしれませんね。
もちろん、ある程度の学力がある私立高校でもこれは起こります。
しかしそっちはすぐには変化していかないのではと僕は考えています。
数年かけてじわじわと変わっていくんじゃないかと。
現在の大阪や東京のように。
人気だった公立高校ですら志願者大幅減、はたまた定員割れしていっている都市部。
熊本もそうなる日が来るかもしれません。
「昔はあそこ頭良かったけどね、今は定員割れしてて頭悪い子ばっかりになったね」
そんな既視感のある会話が近い将来増えてくるかも。
まぁ、学力の高い私立高校にとってはメリットの多い制度のような気がします。
今まで滑り止めで受けて公立に流れていた学力の高い子たちが、最初から私立を狙ってくれる可能性が高くなるわけですから。
私立高校からしたら喉から手が出るほどほしかった学力の高い子が、じゃんじゃん入学してくれるようになるわけです。
そうすれば、今まで入学してから必死に学力を上げるために行っていた授業も、先生たちからすればやりやすくなっていくかも。
5~10年もすれば、熊本の高校パワーバランスが変わってきそうな気もします。
公立で【4高】なんて言ってた時代も過去の話になるかもしれませんね。
それと、他に考えられるデメリットは、
【公立高校(学科)の統廃合】
じゃないでしょうか。
先日のニュースで公立高校の募集人員を減らし学校の規模の縮小を検討している話が出ていましたし。
街中の学校はまだいいでしょうが、ただでさえ定員割れしまくっている郡部の方の高校はかなり窮地に立たされるかもしれません。
ひどいところは前期で2名、後期で0名、つまり学科として2名で新学年を始めた高校もあるくらいです。
そこで廃校だったり学科の廃止が行われれば、
「田舎に住んでたら学べない、子どもの将来を考えれば街中に行くしかない」
となり、居住地が原因の教育格差のせいで過疎化も、今よりもじゃんじゃん進みそうですよね。
さてさてどうなることやら。
上記のことはあくまで僕が無い頭をひねって考えついたデメリットではあります。
詳しい人からすれば、
「そんなことは起こり得ない!」
と言われてしまうかもしれません。
しかし、ぼくも教育に携わる身として やはり大きな不安を感じています。
教育の根幹は公立であってほしいと僕は思います。
国がしっかり子どもを育て、国益につながる人間に成長させていく。
それが公立の教育であってほしいわけです。
その中で、たとえお金がかかっても私立の理念・思想に賛同したり、より良い環境で我が子を学ばせたいと思うのであれば私立でいいじゃん的な。
むしろお金がかかるのを回避するために、奨学をGETできるよう勉強を頑張るのだって大事なことだと思います。
努力ってのは本人が積み重ねていくものですし、努力の経験がないまま大人になってしまっては、先々で不利な状況を享受しなくてはいけなくなる可能性もあります。
自分に降りかかった矢は自分で跳ね除けなくてはいけない。
目標のために努力ができる大人に成長していってもらいたいものです。
私立高校まで実質無償で通える(ようになるかもしれない)来年度。
自分に必要な力を今のうちに身に着けながら勉強していってもらいましょう!
今後もどうぞよろしくお願いいたします♪
